アタマイ2015リリースと全国行脚

2015年11月、アタマイビレッジ2015ヴィンテージの順次リリースを開始しました。それに伴い、11月19日より栽培醸造家のコウヘイさんも忙しい畑仕事の合間を縫って来日してくれました。来日時にお取引先様からのリクエストなどで書くサインは決まって「今日も畑、明日も畑、いいワインは畑から」。自社畑の3haで自身の手で試行錯誤を繰り返しながら栽培に取り組んでいます。2016年ヴィンテージへのイメージを膨らますためにも、畑作業が本格化する前に、2015ヴィンテージを日本でみなさんと飲みながら沢山の感想を持ち帰るための来日でもありました。

横浜〜東京〜大阪〜神戸〜京都〜名古屋〜岐阜〜仙台〜青森と2週間にスケジュールを詰め込みました。こんなにハードなスケジュールにしてもこの旅には通訳という仕事がありません。僕の気持ちがどれだけ楽だったことか、笑。しかもご本人が話上手この上ない為、会う方々には栽培や醸造の細かいニュアンスまで伝わっているのが横で見ていてよくわかりました。逆にこれを通訳する必要があったなら、気が遠くなりそうです。

例えば「自然酵母で発酵」と簡単に説明してしまいそうなポイントも、栽培醸造家が話せば全く違います。コウヘイさんからは『僕は栽培醸造家なので自然発酵というよりは培養酵母無添加と説明しています。というのも、醸造所内にはこれまでこの場所で使用された培養酵母が住み着いていますし、別のタンクで使用している培養酵母が舞ってきている可能性もあります。(醸造所は間借りの為)例えば4000リットルの大きなタンクが自然に発酵を始めることは難しいんです。既に培養酵母無添加で発酵を始めた他の小さなタンクから「酵母の種」をもらい、少量の自身の果汁と合わせます。それがブクブクと発酵を始めたら200リットルくらいの容器に移し果汁を足します。一晩かけて元気よく発酵を始めた酵母ががっちり詰まった種を大きなステンレスタンクに移すんです。移し方も一箇所から入れてゆっくり広げるのが大切なんです。』とその場をしっかりイメージさせてくれる説明が繰り広げられておりました。

そんなコウヘイさんの2015年5月のセミナーの様子はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=dnvODpGKAog

パーマカルチャー手法の「無殺菌牛乳の使い方」というのも皆さん関心を持っていました。ビレッジ内で飼われてる10頭の牛から採れる無殺菌牛乳がぶどう畑で農薬の働きをしています。そもそも葡萄の木の生育期には乾燥して病気の起こりにくいネルソンならではのソフトな病気対策です。善玉菌の塊でもある無殺菌牛乳を水で10倍に薄めて2週間に一度ヴィンヤードに散布するのだそう。病原菌となる悪玉菌を殺すのではなく、無殺菌牛乳の善玉菌と競合関係にすることで病気の発生を抑制する手法だそうです。ヴィンヤード内を善玉菌で満員電車のようにしておくことで、悪玉菌の入り込むスペースを極力抑えるのだとか。雨が降ればその牛乳はそもそもカルシウムなどの栄養たっぷり。土に還り葡萄の木に吸収されるという循環の中に取り込まれます。

そして2014と2015の大きな違いの一つに「樽」の使用がありました。新樽2つと古樽5つの計7樽が醸造の中で活躍しています。使用されたのはソーヴィニヨンブランの発酵とピノグリの熟成です。ソーヴィニヨンブランの一部をこの7樽で発酵させ、樽香が付きすぎないところでステンレスタンクに戻します。そしてこの空いた樽に、ステンレスタンクで発酵を終えたピノグリの一部を入れて熟成。様子を見ながら瓶詰め前にステンレス発酵のものと合わせて使用しています。

リースリングは同一の方向性であったのに対し、ソーヴィニヨンとピノグリはそのスタイルの変わりようにみなさん驚いていました(僕も)。来年はどんなスタイルにするの?とみなさん興味津津の中で、コウヘイさんはそれを考える為に多くの人の感想や意見を聞きに来ましたとにっこり。そしてどんなスタイルにするかは、これからの栽培の中へ取り込む必要があるんです。だから今きましたと。

過密な2週間でしたが、多くの方に直接の言葉でアタマイワインを知ってもらうことができました。今回も多くの方の歓迎と助けのおかげで充実した時間を過ごすことができました。ありがとうございます!

アタマイワインは引き続き好評リリース中。みなさまどうぞお試しくださいね!







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